- 芸術文化日録(AtoCジャーナル)
山内壮夫は「忘れ去られていた」のか?
2025年07月01日

道新カルチャー面のあれこれ。
岩見沢生まれで没後50年を迎える彫刻家・山内壮夫の展覧会が、本郷新記念札幌彫刻美術館で開かれている。旧制札幌二中(札幌西高)から東京高等工芸学校工芸彫刻部(千葉工大工学部)に進み、本郷新や佐藤忠良らと新制作派協会彫刻部を作って活動した。全道展創設にもかかわった。見出しの「忘れ去られた」彫刻家と見出しにあるのは、どうなのだろう。記事にもあるカナモトホール前の「希望」は有名だし、北陸銀行札幌支店の旧ビル屋上にあった『鶴の舞』が、同じく豊平支店前の敷地に移設されたのも記憶に新しい。
札幌出身の画家・笠井誠一の追悼記事を、笠井の実家であったマリヤ手芸店の2軒隣に住んでいた作家でイタリア文学者の澤井繁雄が執筆している。画家の作風を「軽み」の境地と称した。2015年、札幌芸術の森美術館での回顧展を取材した筆者も、同じことを感じた。追悼記事に添えられた写真もそのときのもの。
中島岳志の《論壇時評》は、コメ不足問題をJA批判の側面から論じた。大規模米作農家への補助金直接支払いの政策は構造改革の側面からは是だが、これにより零細農家や兼業農家が離農することになれば、JAの存在意義がさらにしぼみ、需給調整機能はいよいよ働かなくなる。JAがなくなったとしたとき、コメの値段がどうなるのかは誰も読めない。