- 芸術文化日録(AtoCジャーナル)
河﨑秋子の新刊『森田繁子と腹八分』
2024年12月12日
河﨑秋子の新刊『森田繁子と腹八分』(徳間書店)が面白そうだ。連載したのが日本農業新聞だけに、農業コンサルタントが主人公。「縦にも横にも大きな」森繁こと森田繁子が「品川ナンバーの赤いBMW」で現場に現れるという人物造形だけで、惹きつけるものがある。直木賞受賞後の作品の視野の広さが際立つ。安田菜津記の《社会時評》は袴田巌さんの無罪判決を取り上げ、再審制度に物申す。《音楽会》は札響第665回定期。エリアス・グランディのマーラー交響曲第1番とヒンデミットの『白鳥を焼く男』。サウンドの清新さに言及がある(評・八木幸三)。12月21日に公演するシークレット歌劇團の紹介も。いずれも道新カルチャー面。
ここから道新社会面。
芥川賞・直木賞候補が発表され、芥川に江別出身の乗代雄介『二十四五』、直木に小樽出身の朝倉かすみ『よむよむかたる』が選ばれた。
白糠でアイヌ民族の伝統漁法を継承する青年と家族の姿を描いたドキュメンタリー映画『アイヌプリ』が完成し、14日から東京と道内で公開される。伊達出身の福永壮志監督作品。白糠アイヌ協会の天内重樹会長にスポットを当てる。北海道博物館が保管しているアイヌ民族の遺骨7体のうち、網走で発見された1体を来年度、網走市内の団体に返還される。
朝日新聞は北海道面に、札幌市がマンガを核とするポップカルチャーを活用したまちづくりを官民連携で進め、一般社団法人を立ち上げる方針を市議会で明かしたとの記事。「札幌マンガ・図書等活用まちづくり機構(仮称)」の名称はいかにも行政だが、マンガライブラリーの実証実験、企画展、ワークショプなどを5年間にわたって試行する。常設展示は考えていないとのこと。