- 芸術文化日録(AtoCジャーナル)
さよなら、谷川俊太郎
2024年11月20日
詩人谷川俊太郎が逝った。11月13日、92歳。多くの人たちが教科書で彼の柔らかな詩に触れ、スヌーピーやチャーリー・ブラウンが活躍するC・M・シュルツ『Peanuts』の邦訳では英語を日本語に橋渡しする技に驚き、(私たち世代はとくに)『鉄腕アトム』の歌詞に胸を躍らせた。私個人も彼のたくさんの詩集を手に入れ、エアチェックしたラジオドラマを繰り返し再生した。仕事でも何度かお会いした。モエレファンクラブ主催のイベント「モエレからうたがうまれる(谷川俊太郎さんを迎えて)」や、穂別(現むかわ町)で行われた「北の詩・森のステージ」の夜。道立近代美術館で開かれた「パウル・クレー展」のために、原稿依頼に世田谷の自宅を訪ねた日のこと。黄色い箱入りの詩集『生きる』を思い出し、小室等が歌う『いま生きているということ』を深夜に聴く。喪失感は大きい。けれども、私たちのもとには彼が遺した膨大な詩がある。詩集がある。言葉がある。それらを読み続ける行為こそ、彼を最大限に悼むことにつながると前向きに考えたい。
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20日の各紙は、いずれも1面に訃報を掲載した。気になって入手した5紙の扱い。過分な情報ではあるけれど。
北海道新聞 1面腹)谷川俊太郎さん死去 92歳 詩人「二十億光年の孤独」
社会面)ジャンル超えた異端児 谷川さん死去 あらゆる題材 詩に
道内関係者 悼む声 穂村弘さん「覚悟していたが喪失感」
公認カフェ店主「悲しみ押し寄せ涙」
朝日新聞 1面トップ)谷川俊太郎さん死去 92歳 戦後現代詩を代表
文化面)谷川俊太郎さんを悼む 佐々木幹郎寄稿
蘇る「おとし物」待ち望んだ芝生のステージ
社会面)軽やかに 詩を飛び越え 谷川さん 生と死 愛と幸せ やさしく表現(評伝)
言葉疑い続けた 心の匂いと風景紡ぐ 歌人や歌手ら悼む声
100超の校歌「子どもの道しるべ」
北海道面)谷川さんの校歌「宝物」 札幌開成高出身の古川さん
詩への思い守る「俊カフェ」
毎日新聞 1面左肩)谷川俊太郎さん死去 92歳 「二十億光年の孤独」
社会面)谷川さん死去 純度の高い魂の光 詩人仲間「稀有な人」
現代詩 一級の創作(評伝)
読売新聞 1面腹)谷川俊太郎さん死去 92歳 「二十億光年の孤独」
文化面)谷川俊太郎さんを悼む
平田俊子 国を越え 子どもにも大人にも愛されて
池澤夏樹 高揚した時も 戸惑った時も ぼくたちは 彼を読んだ
社会面)詩を書くということ 70年 谷川俊太郎さん 人間、宇宙、愛 リズムよく
素直な思い 日本語に込め(評伝)
日本経済新聞 1面腹)谷川俊太郎さん死去 92歳 詩人「二十億光年の孤独」
社会面)平易な言葉で深遠な世界 谷川俊太郎さん死去 「俗は大事」貫く(評伝)