• 芸術文化日録(AtoCジャーナル)

札幌冬季五輪 招致断念を受けて

2023年12月01日

 札幌市が冬季五輪招致を断念した背景を、朝日新聞が社会面、道内面とスポーツ面で総括している。汚職五輪への逆風からの脱出をリードできなかったJOCの不甲斐なさにも触れ(社会面)、札幌の招致理由の「五輪は都市再開発の起爆剤で、海外観光客の増加につながる」を昭和の価値観を引きずったままと断罪した(スポーツ面)。だがそれは札幌に限ったことではなく、汚職五輪が記憶に新しい東京大会もJOCの存在も、古い価値観の祝祭資本主義そのものであった。道内面には、常見陽平千葉商科大准教授が寄稿(《オリパラ札幌招致の行方》上)。福岡市の成長ぶりを引き合いに、札幌は「世界を相手にできておらず、ビジョンを持っていないから」と指摘している。
 道新も1、2、3面、社会面で大展開している割には、断念の理由は汚職五輪との指摘に終始し、なるほどと思わせる「論」は少ない。北海学園大教授の山本健太郎が、「市長がまずやるべきことは、札幌のまちづくりの将来像を描き直すことだ」と述べ、「人口が減少し、縮小していく都市の判例を作り上げてほしい」と結んでいる。
 道は本年度の北海道功労賞に、アイヌ服飾文様研究家の津田命子(のぶこ)ほかを選んだ。

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