• 芸術文化日録(AtoCジャーナル)

新道展のインスタレーション

2023年08月19日

 道新社会面で第67回新道展の受賞者発表。札幌の永桶宏樹・麻理佳夫妻の美術ユニット「故郷2nd」によるインスタレーション作品『集合と解散 明日は別の電車に乗る』が協会賞を受賞した由。美術ユニットの受賞も、インスタレーションの最高賞も珍しいのではないか。既存の道展、全道展に負けない新機軸を、という創立当初の気概を思い出してみる。
 作家の桜木紫乃の道新朝刊連載エッセー《北海道発、女たちの覚悟》。飼い犬ナナの死を語っている。ペットへの愛情と追憶。〈時間は驚くほど早く過ぎてゆく。どんな悲しみも日常に紛れてゆく〉〈「お前は次、どんな姿でどこに生まれてくるんだ?」。また、我が家においでよ〉
 お待ちかね。「ライジングサン・ロックフェスティバル(RSR)」は、道新夕刊カルチャー面のリポートがさすがに詳しい。MISIA&矢野顕子の共演(写真や良し)や、電気グルーヴ、スクーヴィードゥー、くるり、サンボマスターらベテラン勢、そしてサンステージのトリに抜擢されたマカロニえんぴつと、今年のRSRの傾向と魅力を要領よくまとめている。熱中症対策への配慮も求めている。
 この紙面には、興味深い記事が多数。村田真の《ウエーブ美術》は、公立美術館の「後発県」であった青森が、県美に次いで十和田市現代美術館、弘前レンガ倉庫美術館、八戸市美術館、国際芸術センター青森と拠点施設をめぐるアートツーリズムの地として注目されていることを紹介している。
 7月に100歳を迎えた書家・中野北溟が最高顧問を務める創玄会の「創玄作家100名による小品展」が20日まで札幌市民ギャラリーで。中野は、多くの仲間や弟子たちの祝意に応えるかのように〈ありがたくって うれしくって 涙あふれる〉という心温まる書を出品した。
 さらにさらに。《展覧会》は、道立旭川美術館で開かれているグラフィックデザイナー遠藤享(すすむ)の個展を取り上げた。90歳となる作家の挑戦と変遷をうかがうことができる。天辰保文の《音楽アラカルト》は、ロビー・ロバートソンの追悼。こうしてみると、偶然にも80歳、90歳、100歳のアーティストたちの足跡をたどる紙面になっている。

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