- 芸術文化日録(AtoCジャーナル)
PMF2023 トーマス・ダウスゴーインタビュー
2023年08月14日
新聞は本日朝刊が休刊。道新夕刊のカルチャー面は、PMFに出演したデンマーク出身の指揮者トーマス・ダウスゴーのインタビュー。師匠バーンスタインについて〈とても深く考える人でした。物事を正面から見るだけでなく、ひっくり返してまた考える。とにかくよく考える人でした〉。PMFOと演奏したブルックナーの交響曲第9番の〝補筆完成版〟第4楽章については〈(未完だった)第4楽章まで演奏すると、ブルックナーも悩みがある人間であったことが分かります〉と語っているけれど、この作曲家は自作にとことん手を入れ、いくつもの改訂版を作った、そもそも「悩み多き人」なのだ。ベートーヴェンの第10、チャイコフスキーの第7、マーラーの第10、エルガーの第3など、未完成の交響曲を本人のスケッチなどから「こうだったのでは」と補完する例は少なくないが「これぞ!」と思った記憶はない。この日もブルックナーらしさと、その未来形を無理やり引っ張り出してきて混ぜご飯にした印象があった。ご本家をはるかに超える名曲に仕上げ、冥土の人を悔しがらせるぐらいの才のある人だけに許される仕事ではないのかな。