さっぽろ芸術文化の館(芸文館、旧北海道厚生年金会館、旧ニトリ文化ホール)の跡地について、札幌市が、再開発を担当する民間事業者をしているという記事が、道新朝刊札幌版に。敷地は11,600㎡。市が行った市場調査では、5つの団体から▷多目的ホール▷アリーナ▷商業施設▷医療施設▷シェアオフィス▷スタジオ▷広場の整備などのアイディアが寄せられた。市は条件をつけて事業者を募る(公募プロポーザル)という。建物は民間が整備し、土地は市が年間1億9,900万円で貸す。
たくさんの疑問符が浮かぶ。札幌市のHPのから抜粋して紹介する。
土地利用に係る基本的な考え方
・事業対象地周辺に立地する機能を活かした集客交流機能の向上
・都心西側の回遊拠点を形成し、美しいみどりや歴史・文化芸術を活かした多様な交流をはぐくむ
・地域特性を活かした新たな交流と活動の創出
提案を求める事項
1.様々な市民等の利用と交流に寄与する施設(集客交流機能)
例:多目的ホール、劇場、イベントスペース、ギャラリーなど
2.主に地域住民の利用を想定した施設(地域活動促進機能)
例:地域住民や子育て世代等の集まり、会議、発表会等で活用できる施設など
3.屋内外の公開空地
4.質の高い都市景観の形成
5.ゼロカーボンシティの実現に向けた取組
例:CGS、下水熱利用、BEMS、オンサイトでの再エネ導入、ZEB化、EVの充電設備の設置など
北1条西12丁目の土地利用について
提案を求める事項のうち、1と2がポイントだろう。市は1の例に挙げた施設例について、市民のニーズを把握しているのだろうか。必要とされるものの優先順位は検討したのだろうか。1と2の両方を満たすとなれば、いわゆる複合的な施設にならざるを得ない。2は公民館の機能ということだろうか。あの一等地に? 記事では札幌市資料館についてしか触れていないが、近くには札幌市教育文化会館もあり、それらとの整合性をどう考えているのだろう。都心まちづくり推進室のコメントとして「多くの市民らを集客して多様な交流を促すとともに、都心西側の回遊性を高めたい」とあるのだが、要するに「民間事業者さん、よく考えて提案してね」ということ? そして、この話題、地域版でいいのかしら。
同じ札幌版で、札幌国際芸術祭実行委が、私立藻岩南小学校でプログラミングの体験プログラムを行ったという話題。冬の芸術祭との関連で、雪の結晶について学習した上で結晶の形をパソコン上に作ってみたとのこと。芸術祭への関心を高めるひとつのアイディア。中谷宇吉郎については説明があったのだろうか。
朝刊社会面には、アイヌ文化の認証制度と監修事業に取り組む「阿寒アイヌコンサルン」が、雑貨の国際見本市「第96回東京インターナショナルギフト・ショー」に初出展したという話題。
夕刊1面の《土曜ズーム》は、ヤフーの支援を受けてドキュメンタリー映像を撮る恵庭の作家を紹介している。プロデューサーと意見交換しながら作品を作り、資金援助も受けられる。作品はYahoo!で公開される。ヤフー側は「その後の映画化やテレビ番組化など作家のステップアップにつながれば」。
夕刊カルチャー面は話題豊富。旭川の村田和子が寄稿。網走生まれの児童文学者の作品集『岩田道夫の世界』(ぷねうま舎、未知谷発売)刊行に携わった。『雲の教室』シリーズ、消しゴムアート版『古事記』、銀河鉄道を彷彿させる絵画など。ウクライナの「キーウ・クラシック・バレエ」公演の予告が詳しい。出演するキーウ・バレエのプリンシパル長澤美絵とソリストの北口雅人によれば、首都キーウでは空襲におびえながらも限られた演目で公演が復活しているという。演目は『白鳥の湖』など。ロシア生まれながら、ウクライナにルーツを持つ作曲家の最も著名な作品を取り上げるのは意義深い。
SCARTSで開かれているアニメーション作家横須賀令子の個展「波と風のもののけたち」も取り上げた。和紙を使い、墨で手描きした作品もあるそう。11日まで。《音楽会》は、札響の名曲プログラムを取り上げた。元首席指揮者のポンマーがブランデンブルグ協奏曲第3番、ベートーヴェンの交響曲第8番、ブラームスの交響曲第4番という「ドイツ三大B」のプログラム。ブラームスの冒頭の主題について〈このパッセージをポンマーは理性と感情の絶妙なバランスをもって描いてみせた。まるで秋の空にわたる清涼な風のようだ〉(評・中村隆夫)